| 賛成討論 | - 2025/10/04
- 請願第17号 教育環境の整備をもとめる請願
について、採択することに賛成討論を行います。
請願の趣旨にも書かれているように 児童生徒の学びや育ちを保障するために、学校現場の教職員は全力を尽くしています。 しかし、特別な配慮を必要とする子どもたちの増加や、不登校・いじめなど、学校の抱える課題は多岐にわたっており、現場の教職員の努力だけでは解決できなくなっています
また市の努力で、課題に合わせた専門のスタッフが一定数の配置をされていますが、様々な困難があり、支援を必要とする子どもの数には、 追いついていません。 項目の1番は、そのような子どもたちの多様なニーズに対応するため専門のスタッフを拡充してください。 と、「人的支援」に関するものです。 (1) 介助員の増員については、例えば、ある小学校では学年途中に車椅子生活をすることになった児童が2名いると聞いています。 その児童たちの適切な対応とサポートのために介助員を配置してほしいという願いです。 しかし、このようなニーズに対応するどころか介助員数や稼働時間が、減らされてきているのが現状です。
さらに、校外学習や水泳指導時のいわゆる「外介助員」の予算も半減したことで、安全に授業や校外学習を行うことが、難しくなってしまった 学校が多数あり、苦慮しています。 (2) スクールソーシャルワーカーの配置については あと3校が未配置で、拠点校から派遣されています。 S S Wは、子どもを取り巻く生活環境を含めたアセスメントとプランニングを行い、 学校や家庭、及び関係機関の連携による適切な支援を行うとともに、「校内支援体制の強化、 及び 教職員の指導力や対応力の向上を図る」 という目的がありますが、派遣型では、その学校への対応が十分できないのです。 S S Wもその学校の教職員とつながり、継続してきちんと対応したいと、願っておられます。、 (4) アシストルームの設置は、不登校気味の児童生徒が校内の別室で学習できる居場所として、多様な学びを保障するための重要な施策です。 宝塚では現行、週2日や週3日しかアシストスタッフが配置されていませんが、毎日配置されれば、登校できる児童生徒が増えるのは、間違いありません。
しかし、請願審査において、私の 「困っている子ども、子どもの命に関わる予算は確保すべきだと考えるが、市はどのように考えるのか」という問いに対して 市が 「課題を解決するために全てに予算をつけると市の財政は破綻する。・・・アシストルームを整備することが最善なのか」と答弁されたことには、驚きを禁じ得ませんでした。 では、何が最善なのでしょうか? 答えは一つではなく、多様なのです。そこなら 登校できる、そこなら居場所になる、そこなら 学ぶことができる、そこで救われる児童生徒がいることを、市は確認しに行ってほしいです。
もちろん、答弁の締めくくりにおっしゃった 「限られた予算をどのように使えば、社会問題を少しでも解決できるのか、深い議論が必要だと考える。」 も、当然のことですが、 「引き続き、拡充に向けて動いてほしい」という切実な願いを、一旦は、受け止めるべきではないでしょうか。 次に 項目2 安全で、安心して、学ぶことができる環境整備についてです。 (1) 老朽化による破損・危険箇所を早期に修繕してください、について、教育委員会は、 「雨漏りは修繕ずみ、窓ガラスの割れ・床タイルの剥がれや割れ、体育館の扉・・・それぞれ対応済み」と答弁されました。尽力していることは理解しますが、「対応済み」と胸を張られることには、疑問を抱かざるを得ません。
実際、この請願審査の数日後の台風接近の豪雨の後には、何校かの学校で、サッシの隙間や壁の亀裂から雨が浸透したり、最上階ではない教室の天井からの雨漏りも確認されています。 教材や図書が濡れてしまったり、階段や廊下で 子どもたちが滑る危険も生じています。加えて トイレから、定期的に大量に、下水が溢れてくる学校や、いくら掃除をしても臭い匂いが取れないトイレの改善を、望む学校もあります。 これらの抜本的な解決のためには、校舎建て替えしかないと思いますが、市が、その願いの壁(まさにバリアー)になるのではなく、現状を把握し、今できることと、将来の計画づくりに、活かしていくことが、必要ではないでしょうか。 (2) ユニバーサルデザインの視点を取り入れた学校施設の改修を進めてください、の例として挙げられている、急なスロープの勾配を緩やかにする改修や、エレベーターのない棟への設置 については、「多額の予算がかかるので無理」と一蹴するのではなく、 「本来は、子どもの学ぶ権利を確保・保障するために、バリアフリー環境は順次整えなければならないものである。」を先に述べるべきです。 それは市の責務だからです。 2020年「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)が改正され、バリアフリー上の「特別特例建築物」に 公立小中学校等が追加され、努力義務が課せられたことも、後押しになるはずです。
市役所がバリアフリーでなかったら、エレベーターがなかったら(窓口サービス課に行けず) 市民の権利が阻害されることは、自明の理なのに、学校は、これでいいのでしょうか。 大上段からの答弁で、切り捨てるのは間違っています。
障がいや困りごとが、個人に起因するものではなく、社会や環境によってつくり出されているとする「社会モデル」の考え方が、注目を集めています。 多様な子どもたちがいることを前提に、子どもたちにとっての「社会的障壁」をなくしていくアプローチを、市は一歩ずつ進めてほしいです。
(3) 様々な児童生徒が利用しやすいように、多目的トイレを拡充してください。についても 50数基できている! との答弁がありました。 しかし、遠くまで行かなければならないので困っている生徒や、近くの多目的トイレに鍵が掛けれている学校があって、利用できず困っている支援の必要な児童生徒がいることを知ってほしいです。 我慢して健康を害したり、登校しづらい原因にもなり得ます。トイレ問題は、 命の問題です。 (4) 校内のWiFi 環境整備については 「整備については、予算がかかるために、計画的に進める必要がある、と考えている」という答弁がありました。 普通教室以外の特別教室(図工美術室、理科室、家庭科室など)の授業でこそ、映像や作品、資料提示等で、タブレット学習が効果的であり、使用の強い要望があります。 G I G Aスクール構想におけるタブレット使用学習の、より一層の推進のために、WIFI予算の確保を願うものです。
全体として、この請願は 児童生徒の学習機会を充実させ、安全に生活支援や移動支援をしていくための、人的支援と、 物理的な改善が、求められています。 一度に全てではなく、一つひとつ その子どもに寄り添って、 「できるところから改善していく方向で進めてもらいたい」と、 願っている内容に賛同して、賛成討論といたします。 | |